ブックレビュー『Learn Better - 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』
Facebookの投稿で知ったこの本。教育と教育の研究に携わる者として、読まねば!という使命感で手に取りました。自分メモとして、まとめを書いておきます。
学びのステップは6つの手順があるそうです。
1.価値を見いだす
・学ぶ対象が、学習者にとって「価値があるものだ」と感じる必要がある
・学習者自身が能動的に、学びたい対象と自分への関連づけ、意味づけを行なわないといけない
・学習とは感情をともなう活動。上手くいかない時に、感情面で支援、励ましてくれる存在が不可欠。
⇒ 優秀な教師は「モチベーション」と「支援」を与えるという1文が身に沁みました。教員採用の際は、履歴書や経験だけで判断してはいけないとも。
2.目標を決める
・行き当たりばったりではなく、目標を設定し、学習する知識の絞り込みを行う。その後、それをどのように学んでいくか、しっかりと計画をたてる(=メタ認知能力必要)
・短期記憶の容量は小さい。暗記をする時は知識を小分けにして覚える
・楽々できる範囲から少しだけ背伸びした内容が、最も学習効果が高い。難しすぎても、簡単すぎてもダメ。
・知識の定着の確認のため、小テストは大事
・学習と情動:ポジティブな感情は学習を促進し、ネガティブな感情(悲しみ、鬱、ストレス)は学習の妨げとなる。
⇒ メンタルの状態が学習に深く関わっていることをあらためて実感しました。受験生は、勉強するだけでなく、心理面の管理も大事ですね。
3.能力を伸ばす
・習熟度を伸ばすには、フィードバックとモニタリングが重要
・フィードバックの際、答えを与えるのではなく、ヒントを少しずつ与え、正しい答えに導く
・学習には知的苦痛が必要
「学習は楽しみではなく、苦痛をともなうものだ」by アリストテレス
・苦労を要するトレーニングの1つは検索練習 → 受け身で理解するだけでなく、言語化して説明できないといけない。人に教えるのも効果的。
・脳の可塑性:何かを繰り返し行うと、脳がそれを「重要」と認識し、うまく対処できるよう適応する
・間違えた時に「ガーン」と感じることが学びにつながる。
4.発展させる
・絞り込んだ分野において習熟したら、その領域を広げる必要がある
・知識の発展には。質問する、議論する、模倣、シミュレーション、人に教える、などがある
・多様性は人を賢くする
5.関係づける
・複数のテーマの間に存在するつながりを見つける(原因、類似点、相違点)
・複数の分野や異なる事例を混ぜ合わせる → つながりがわかると、さまざまな文脈で知識が活用でき、問題解決力があがる
6.再考する
・「過信」は学習の阻害要因(知っていると思うと勉強しなくなる)→ フィードバックをくれる人が必要
・分散学習:忘れた頃にもう一度学習する
・一人で内省する時間も必要
読んでいる最中、これはPDCAサイクルをアカデミックな感じで書いたものでは?と思いました。他にも既にどこかで聞いたことのあるような概念もありましたが、エビデンスをあげて説明してあるところが、ビジネス書と違うところ。そのため、一般書でありながら、かなり読み応えがある一冊です。
学びについて深く考えたい方に、おすすめします。